統合失調症の症状

統合失調症の症状として、主に精神機能の障害を挙げることが可能です。具体的には、認知能力や活動意欲の低下、または行動や情動の異変などです。なお、これら症状はそれぞれ“陽性症状”と“陰性症状”との2つに分類することが可能です。

陽性症状

陽性症状とは、主に急性期に生じるものとされています。その症状は『思考過程の障害』と『思考内容の障害』とに分類することが可能です。なお、これら症状の特徴として、自閉症と重複しているためにしばしば誤診されることがあるという点を挙げることができます。

『思考過程の障害』の例としては、“話がまとまらない”といった症状を挙げることができます。また、質問に対して“的外れな回答を行う”といった症状も挙げることができます。これら症状により、話し相手からは話をあまり聞いていない人物であると判断されることもあります。

『思考内容の障害』の例としては、“妄想”などの症状を挙げることができます。この“妄想”には様々な種類・傾向がみられ、一人の患者においてそのすべてが見られるというのは極めて稀とされています。妄想の特徴は、客観的な事実や論理に照らし合わせてみれば、それらが生じる可能性が低いにも関わらず、さもそれらが自身の周囲で生じているかのように認識する点にあります。なお、一言で妄想といっても、その種類は様々で、例として以下のようなものを挙げることができます。

□妄想の種類

・被害妄想:
『周囲の人間に嫌がらせをされている』、『通行人がすれ違い様に自身を悪く言っている』といった妄想です。
・誇大妄想:
実際の状態よりも有利、優秀、裕福、偉大であると考え、自身を過剰評価する妄想です。
・関係妄想:
自身の周囲で生じる出来事を、自身に対する悪意のあるものとして解釈する妄想です。
・追跡妄想:
誰かが自身を追いかけていると考える妄想です。
・嫉妬妄想:
自身の配偶者や恋人が、自身に隠れて不貞行為を行っていると考える妄想です。
・恋愛妄想:
自身が異性から愛されていると考える妄想です。学校や職場で接する人間が、自身に異性として好意を抱いていると考えるといった例が挙げられます。
・被毒妄想:
自身が摂取することになる食材・食品に、毒物が入れられていると考える妄想です。
・家族否認妄想:
自身は家族と実際の血縁関係にないと考える妄想です。
・注察妄想:
自身が常に誰かに監視されていると考える妄想です。『近所の住人が自身を見張っている』、『自身の家・部屋に盗聴器が設置されており、常に自身が見張られている』、『自身の思考が何者かに盗聴されている』、『自身が監視カメラで常に監視されている』
・心気妄想:
自身の身体が重度な病気にかかっていると考える妄想です。
・宗教妄想:
自身が神だと考える妄想です。
・物理的被影響妄想:
『電磁波で攻撃されている』といった妄想です。
・血統妄想:
自身が皇族や貴族の隠し子・血縁者であると考える妄想です。

□幻覚

統合失調症を患った際に生じる障害として、他にも“幻覚”を挙げることができます。“幻覚”とは、実在していない要素を何かしらの知覚として体験する症状を指します。幻覚は細かく5つに分類することが可能です。それぞれ、聴覚にて生じる『幻聴』、視覚にて生じる『幻視』、嗅覚にて生じる『幻嗅』、味覚にて生じる『幻味』、そして、体感にて生じる『体性幻覚』です。

幻覚を体験する場合、被験者は“知覚で感じることになる情報”が外部から入り込む感覚に見舞われるため、その情報を発信する存在が実在しているものであるとの認識を抱きやすくなります。具体的には、『神や悪魔が話しかけてくる』、『宇宙人の交信を受けている』、『電磁波が頭に入ってくる』といった症状が挙げられます。また、幻聴の内容は悪意のある内容であることも少なくなく、しばしば『近所や周囲の人から悪口を言われている』といったような感覚に陥ることもあります。なお、統合失調症における幻覚としては、幻聴が特に多いとされています。これに対して幻視については、幻聴と異なりその発生は極めて稀であるとされています。

□自我意識の障害

統合失調症の症状として、上記の幻覚以外にも“自我意識の障害”を挙げることができます。自我意識の障害とは、自身と他者の区別が困難となる障害を指します。一般的に、健全な思考状態・精神状態の場合であれば、自身の脳内で生じる内的な声を外部からの声として認識することはありません。この点、自我意識に障害をきたすと、自身の脳内で生じた内的な声を外部からの声として認識するようになります。こうした症状により、以下のような感覚・錯覚・思考に陥ることになります。

『考想操作』
他者が自身の考えに干渉し、自身は他者の考え通りにテレパシーによって行動させられていると感じます。
『考想奪取』
自身の考えが他者に奪われていると感じます。また、病状が進行すると、自身の脳内に直接、他者の何かしらの力が及び、それによって自身の考えが奪われると感じるようになります。
『考想伝播』
自身の考えが他者に伝わっていると感じます。自身の周囲には洞察力の優れた者がいると認識し、そのような者に対して敏感になる傾向があります。また、病状が進むことにより、自身が周囲に対してテレパシーを発信していると感じるようになります。
『考想察知』
自身の考えが周囲の他者に知られていると感じます。また、自身の言動から自身の考えを読むことができる者がいると感じ、そのため、自身は考え方が知られる特別な存在であると感じるようになります。また、自身を卑下する傾向もみられます。病状が進むと、自身と他者との間でテレパシーのように交信することができるようになったと考えるようになります。

上記以外の症状として“無反応状態”を挙げることができます。昏迷状態や意識障害でないにも関わらず、外部からの刺激に対して反応しない状態となります。また、表情が冷たい、硬いといった症状も現れ、周囲の人たちとの接触に関して拒絶的・反抗的または終始無言になるといった症状もみられるようになります。

陰性症状

陰性症状とは、主に消耗期に生じるものとされています。その症状として、『感情の障害』や『思考の障害』、『意志・欲望の障害』などを挙げることができます。

『感情の障害』の例としては、感情が希薄となり、表情に現れにくいといった症状を挙げることができます。また、他者との心の通じ合いが無くなるといった疎通性の障害もみられます。さらに、他者と一切言葉を交わさなくなる“緘黙”や、自身の内界に閉じこもる“自閉”などもその例として挙げることができます。
『思考の障害』の例としては、意味の無い思考にこだわり続ける症状や、興味の対象が少数に限られるといった症状がみられる“常同的思考”が挙げられます。また、思考において物事の分類や一般化が困難となる“抽象的思考の困難”なども症状として挙げることができます。
『意志・欲望の障害』の例としては、自発性の低下や、意欲の低下、無関心などが挙げられます。

その他の症状としては、認知機能障害などを挙げることができます。認知機能障害は、統合失調症において基本的な障害であるとされています。なお、“認知機能”とは、記憶力や注意力、集中力などの基本的な能力だけでなく、より高度な思考能力である判断力、計画力、実行力、問題解決力などの知的能力も指します。これら各種の能力・機能に障害が生じることにより、通常の社会活動が困難となる場合が少なくありません。
また、極度の不安感や焦燥感、緊張感に見舞われることもしばしばあります。

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